Mikura Labor & Social Security Attorney Office
みくら社会保険労務士事務所
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令和7年1月16日
4月より高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用確保義務が完全実施されることを踏まえて、就業規則の定年規定ついてご相談を受ける機会が増えてきています。
今回の改正は、平成25年4月の改正高年齢者雇用安定法に由来しています。この時点で高年齢者雇用確保措置規定が始まりましたが、経過措置として老齢厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢以上の年齢の者について継続雇用制度の対象者を限定する基準を定めることが認められていました。
この経過措置が令和7年3月31日に終了します。
令和7年4月1日からは高年齢者雇用確保措置として 以下のいずれかの措置を講じる必要があります。
① 定年制の廃止
② 65歳までの定年の引き上げ
③ 希望者全員の65歳までの継続雇用制度の導入
そこで現在60歳定年の会社が、65歳定年に延長する改定を検討しているケースが多いようです。
対応自体に問題があるわけではないのですが、現時点ですでに経過措置による基準を設けていないケースでは、③の継続雇用制度で運用することも可能ではあります。
定年を延長する目的が法改正によるものではなく、人材確保等の観点から行うものであれば理にかなっているといえます。
ただし定年が延長されることで直接的には人件費が増加すると想定されます。定年再雇用後の労働条件や退職金規程の見直しにも波及する問題であることは認識しておいたほうが良いでしょう。
一方、希望者全員の65歳までの継続雇用制度での運用を維持した場合にも課題はあります。
通常、定年再雇用後は嘱託社員等の名目で契約社員に変更することがありますが、契約更新時における労働条件の変更や無期雇用転換権発生時における雇止めの問題が今回の改正法の趣旨と照らして整合性を維持し続けられるかが焦点になりそうです。
前者については、面接等により本人の希望をきめ細かくヒアリングしたうえで書面による更新締結で対応して、後者については当面有期特措法の第2種計画認定の併用を検討することになるでしょうか。
雇用保険の高年齢雇用継続給付の支給率も4月より減額されることを踏まえると、継続雇用制度を選択したとしても、65歳定年と比較して遜色ない運用が求められていくのかもしれません。
高年齢者雇用安定法と高年齢雇用継続給付の改正の詳細は、厚生労働省のホ-ムページにも公開されています。あわせてご参照ください。
https://jsite.mhlw.go.jp/saga-roudoukyoku/content/contents/001993907.pdf
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000160564_00043.html