Mikura Labor & Social Security Attorney Office

みくら社会保険労務士事務所

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令和7年度の地域別最低賃金が更新されています

  令和7年10月6日

 10月より令和7年度の地域別最低賃金が順次更新されています。

 8月の目安額の公表を受けて、各都道府県の最低賃金が公表されましたが、昨年度以上の引上げ額となり、なおかつ改定時期についても例年とは異なる苦渋の展開となりました。

 

 今年度のポイントとしては、次の内容となります。

  • 47都道府県で、63円~82円の引上げ
  • 改定額の全国加重平均額は1,121円(昨年度1,055円)
  • 全国加重平均額66円の引上げは、昭和53年度に目安制度が始まって以降で最高額
  • 最高額(東京都:1,226円)に対する最低額(高知・宮崎・沖縄県:1,023円)の比率は83.4%(昨年度は81.8%。なお、この比率は11年連続の改善)

 

 首都圏の最低賃金額と発効日は以下の通りです。()は昨年度の額

  • 東京都:1,226円・2025103日(1,163円)
  • 神奈川県:1,225円・2025104日(1,162円)
  • 千葉県:1,140円・2025103日(1,076円)
  • 埼玉県:1,141円・2025111日(1,078円)
  • 茨城県:1,074円・20251012日(1,005円)

 

 今年度の注目点は発効日にバラつきがある点です。昨年度までは概ね10月にどの都道府県でも改定が行われましたが、最も早い栃木県(2025101日)と最も遅い秋田県(2026331日)で半年の開きがあります。

 

 1年間のうちで半分が前年度の最低賃金額が適用される実態が果たして「改定」といえるものなのかどうかは引っ掛かるところですが、中央最低賃金審議会の目安額の答申において発表された使用者側の次の意見が色濃く反映されたと思われます。

 

「(前略)地域別最低賃金の『発効日』は法律により10 月1日に定められていない中、近年の大幅引上げによって、これまで以上に事業者側の相当な準備期間が必要であることに加えて、実効性確保の観点から、周知期間の十分な確保や「年収の壁」による就業調整による人手不足の一層の深刻化等の様々な影響も考慮すべきであることを踏まえ、各地方最低賃金審議会が実態に即して発効日を柔軟に決定することが望ましいと主張した。(後略)」

 

 最低賃金法では公示日から30日後に発効することとされています。ただし発効日を別に定めた場合はその日が発効日となる、とされています。(最低賃金法第14条)

 

 県をまたいで事業活動している企業、とくに全国展開しているチェーンストアなどでは隣県の賃金額をにらみながらの人材確保の競争がより激化しそうですが、発効日の違いという新たな要素が「県境なき労働者」の発生につながるかどうかが注目されるところです。

 

 今年度の地域別最低賃金関連の情報は、以下の厚労省の各サイトより確認できます。

 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_63030.html

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/index.html

 

 https://saiteichingin.mhlw.go.jp/