Mikura Labor & Social Security Attorney Office

みくら社会保険労務士事務所

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令和4年度の地域別最低賃金が決定しました

令和4年10月7日

 10月より今年度の都道府県別の地域別最低賃金が順次改定されています。

 あなたの賃金を比較チェック|最低賃金制度 (saiteichingin.info)

 

 全国加重平均で961円、昨年度より31円上昇となり、過去最高の引上げ額となりました。最高額(東京都の1,072円)と最低額(青森等の853円)の地域間格差は219円となります。

 

 地域別最低賃金は「地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定め」ることになっています。(最低賃金法第9条)

  昨今の消費者物価を理由に更なる引上げを求めた労働者代表と、原材料費の高騰等を理由に引上げの抑制を主張した使用者代表との間で意見の一致をみることなく改定されることになりました。

 

 ともあれ令和4年度の最低賃金がスタートしたわけですが、昨年のこの時期にも最低賃金に関する新着情報を採りあげた際に、「最賃引上げが必ずしも“労働者の生活改善”や、企業の“生産性の向上”には結び付かないのではないか」と書きました。

 https://www.mikura-sr.com/16346252042767

 

 今でも基本的にはこの考えは変わりませんが、ここ数年のハイピッチな引上げを見ているうちに、中長期的には状況が変わるかもしれないと感じるようにもなってきました。

 

 時給で働く非正規労働者については、扶養範囲内に収まるように労働時間を減らしていくものの、その時間削減にも限りがあります。

 とくに最賃レベルで就労しているのは労働集約型の業種も多く、福祉や介護、保育の産業にみられるように常時事業場にいなければならない専門職が法で規制されていたりもするので、機械化にも限度があるでしょう。

 

 ただ、弊所の場合、最賃改定のご相談は月給制の労働者についての対応が多いです。とくに固定残業制度を導入している会社、とりわけ「みなし残業時間」の割合が多い(例えば40時間など)ケースです。

 

 非正規労働者が時間削減で賃金総額を抑えるように、月給労働者も賃金総額を変えられないなら、みなし残業時間の割合を減らして(その分基本給を上げて)対応するしか方法はありません。

 しかしこれもまた想像に難くないところで、みなし残業時間を削減できるのは、(差額精算を回避したいなら)実際に発生している実残業時間まで、となります。

 

 東京都の最低賃金は一昨年の新型コロナウイルス感染症の緊急対応を除くと、毎年30円前後上がっています。このままいけば、最低賃金が1,500円になるのは約15年後の2037年です。

 自社の10年後や15年後の“未来予想図”を描くことは、どこの会社でも日常茶飯事に行っていることでしょう。

 

 政府が経済界に賃上げを要請し続ける姿は、この数年の風物詩にすらなっていますが、うがった見方をすると、万策尽きて最賃引上げという兵糧攻めのような政策で実現するしかない、と観念してしまっているようにも映ります。

 

 こうなってくると、賃金改定(昇給)時期を4月から10月に変えることを提案したくなる欲求にかられます。

 

 最低賃金改定の経緯は、こちらからも確認できます。

 令和4年度地域別最低賃金額改定の目安について (mhlw.go.jp)