令和7年2月8日
厚生労働省は、先月の1月24日に令和7年度の年金額を公表しました。
公的年金は毎年4月に改定されますが、改定に用いる統計(全国消費者物価指数)が1月に公表されるため、この時期に新年度の年金額も発表される慣行です。
令和7年度の参考指標は次の通りとなりました。
物価変動率>名目手取り賃金変動率の場合、名目手取り賃金変動率(+2.3%)を基準に年金額を改定するルールとなっています。これは公的年金の財政方式が賦課方式を採用していることを考慮して、現役世代の負担能力に応じて年金額を改定する仕組みになっているためです。
加えて、現在の年金額は、物価変動率や名目手取り賃金変動率とは別に「マクロ経済スライドによるスライド調整率」という数値も反映して改定することになっています。
マクロ経済スライド調整率とは、公的年金の加入者数(被保険者数)と平均余命の伸び率(受給者数)をもとに、その比率を年金額に反映させる仕組みです。
今年度のスライド調整率は▲0.4%となりました。
したがって今年度の年金額は、昨年度の年金額を比べて+1.9%となります。
さらに昨年度より新規裁定者と既裁定者(昭和31年4月1日以前生まれ)とでは年金額に差異が生じるようになったため、今年度の老齢基礎年金は新規裁定者が月額69,308円に対し、既裁定者は69,108円となります。
昨年度に引き続き今年度も名目手取り賃金変動率が物価変動率を下回りました。なかなか賃金が物価を上回る好循環が到来しませんが、下記サイトに公表されている資料でも年金額の試算に用いる「平均標準報酬」も昨年度より増額されてはいます。(43.9万円⇒45.5万円)
また今年度の改定額資料で特徴的なのは昨年公表された財政検証を踏まえて、個人単位での公的年金加入履歴から、各世代の65歳 時点における老齢年金の平均額や分布の将来見通し(年金額の分布推計)を作成している点です。
厚生労働省の公表資料は、こちらからダウンロードできます。