令和5年12月7日
厚生労働省は、来年4月から改正される裁量労働制にかかるリーフレットを公表しています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/roudouzikan/sairyo.html
専門業務型裁量労働制の労使協定は有効期間を3年以内とすることとされているため、各企業では有効期間を限度期間の3年にしているケースが見受けられます。
現行の有効期間が改正施行日をまたぐ場合でも、今回の改正は協定項目の追加になるために令和6年4月以降も裁量労働制を継続する場合には、労使協定を再締結する必要があります。
令和6年4月より建設業などにおいて時間外労働・休日労働の上限規制も開始されますが、こちらは現行の労使協定が改正施行日をまたぐ場合には、協定の有効期間が経過してから更新される36協定より適用されます。それぞれの労使協定の取扱いが異なるため注意が必要です。
4月からの改正では、専門業務型裁量労働制については、新たに対象労働者に対する事前の同意と同意の撤回に関する規定を労使協定に盛り込むことになります。
これに関して、11月にQ&A(追補版)が厚生労働省より公開されています。
https://www.mhlw.go.jp/content/001164350.pdf
同意の取得については、書面に限らず電子メール等でも可能であること(Q1-4)や、労使協定が更新されるごとに取得する必要があること(Q1-6)などの取扱いが示されています。
また裁量労働制の適用労働者が同意を撤回した場合や労使協定の締結・更新時に同意が得られなかったことによって、労働条件が低下する場合の取扱いについても示されています。(Q2-3、2-4)
裁量労働制においては対象業務が限定されており、付随業務があるケースではそもそも対象業務として適正かどうかも精査する必要があります。
かたや適用対象となる労働者についても自律的な業務の遂行ができることが前提になっているにもかかわらず、「裁量労働制だから働きたいときに働けばよい」といった制度の趣旨を誤解しているケースも見受けられます。
同意の取得や撤回は記録保存の対象にもなっているため、会社として裁量労働制を継続することが必要であるかどうかについても今回の改正を機に検討してみるとよいでしょう。