令和5年1月20日
全国消費者物価指数(CPI)は、終戦直後の昭和21年(1946年)に初めて発表されました。当時の激しいインフレーションを計測する目的だったといいます。
現在のCPIは毎月公表されていますが、なかでも社会保険労務士が注目するのが1月に発表される年平均の指数です。公的年金は、物価変動に応じて毎年度の実質的な給付水準を見直すことが法律によって定められており、この給付水準の数値を決定するために前年度のCPIが用いられます。
ひと昔前までは、年平均のCPIは翌年1月の最終金曜日に発表することが暗黙の慣習になっていて、月末になると「まだかまだか」と発表を待っていたものでした。
近年は発表が前倒しになってきていて、今年は本日、1月20日に発表されました。
その結果、昨年の物価高を影響を受けるかたちで、4月からの年金は前年比+2.8%となりました。ただし、マクロ経済スライド調整率と前年度までのマクロ経済スライドの未調整分(いわゆる「キャリーオーバー」分)を消化した結果、実際には+2.2%となります。
今年度のもう一つの特徴は「新規裁定者」と「既裁定者」の改定率に差異が生じた点です。新規裁定者とは67歳以下の受給者をいい、既裁定者とは68歳以降の受給者をいいます。
上記の改定率は新規裁定者の数値です。新規裁定者は名目手取り賃金変動率を基準に改定率が決まります。
一方、既裁定者は物価変動率を基準に改定率が決まります。
いずれにしても、3年ぶりの増額改定となり「ホッとひと息」と言いたいところですが、原因が原因だけに複雑な心境です。
改定率の公表に合わせて国民年金の保険料(令和5年度:16,520円/月、令和6年度:16,980円/月)や在職老齢年金の基準額(48万円)も更新されてます。
新年度の年金額についての詳細は、厚生労働省のホームページに掲載されています。
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000191631_00017.html
全国消費者物価指数の結果は、総務省のホームページに掲載されています。