令和4年6月16日
厚生労働省は、6月8日、令和3年「労働組合活動等に関する実態調査」の結果を公表しました。
この調査は、労働組合を対象として、労働環境が変化する中での労働組合の組織及び活動の実態等を 明らかにすることを目的としたものです。
民営事業所における労働組合員30人以上の労働組合のうちから、無作為に抽出した約5,100労働組合から3,319組合の回答をもとに集計されています。
調査内容は、「労使関係の認識」や「労働組合員数の変化」などの項目別に調査されています。
例えば、「労使関係の認識」については、使用者側との関係は「安定的である」と回答した労働組合が9割を超えています。
「労働組合員数の変化」では、組合員数が増加した労働組合(31.4%)より、減少した労働組合(42.7%)が多かったことが確認でき、前回の調査(平成30年)と同様の傾向が見られます。
「組合費」の平均は、1人当たり月間平均で3,736円という結果でした。
調査結果を細かく見てみると、時代の側面を捉えることもできます。
組合員数を増減の原因は、新卒等の新入社員を組合員に加入させることと、定年と退職に伴う自然現象があります。労働力人口の減少が組合員の減少にも比例しているようですが、医療・福祉業や卸売・小売業では非正規労働者を組合員に抱合することで組合員の減少を食い止めている状況があります。
組合費については大規模労働組合ほど高くなる傾向になっています。
「個別労働問題への取組状況」でも多くの労働組合が個別労働問題に積極的に関与している点が注目されます。(88.1%)
取組の方法をみると「労使協議制度を通じて関与」が最も高いとされています。(59.5%)
通常、労働組合は労働条件については団体交渉を通じて行うこととされています。団体交渉は労働組合法で使用者の応諾義務等の法的保護があります。
一方、労使協議会は、法的な根拠がないものの使用者側と労働組合が労働条件以外の経営方針や企業情報の共有など幅広い目的で活用される機関とされています。
団体交渉を円滑に行うために、労使のコミュニケーション向上をはかったり、労働組合としての経営に対するチェック機能を担保する、といった役割も果たしています。
調査の結果は、厚生労働省に詳細が公開されています。
令和3年 労働組合活動等に関する実態調査:結果の概況|厚生労働省 (mhlw.go.jp)