Mikura Labor & Social Security Attorney Office

みくら社会保険労務士事務所

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4月からの雇用保険法の改正について。

令和4年4月7日

 3月30日、雇用保険法の改正が国会で可決されました。

 

 改正の柱は、4月からの雇用保険料率の変更です。今年度は4月と10月にそれぞれ2段階で保険料率が上がります。

 

 4月からの料率改定は、全額事業主負担である雇用保険二事業のみとなるため、9月までは被保険者の雇用保険料には影響がありません。

 一方、10月からの料率改定は被保険者と事業主が折半負担する失業等給付にかかる料率改定となり、それぞれ1,000分の2あがります。

 保険料率の変遷は下記となります。(農林水産業、清酒製造業は省略します)

  • 4月1日~9月30日​ 

  一般の事業:9.5/1,000(労働者負担3/1,000+事業主負担6.5/1,000)

  建設の事業:12.5/1,000(労働者負担4/1,000+事業主負担8.5/1,000)

  • 10月1日~3月31日

  一般の事業:13.5/1,000(労働者負担5/1,000+事業主負担8.5/1,000)

  建設の事業:16.5/1,000(労働者負担6/1,000+事業主負担10.5/1,000)

 

 労働保険料(労災保険料+雇用保険料)は、年度単位で前払い方式を採用していますが、今年度の場合、年度の途中で雇用保険料率が変わるため、令和4年度の前払い分(概算保険料)を賃金総額または保険料率で調整申告することを検討する必要があります。

 

 あくまで概算申告なので、最終的には来年の確定保険料の申告の際に過不足精算されますが、今年度と来年度の業績予測を踏まえて、対応を決めるとよいでしょう。

 

 その他、失業保険の受給者が自営業を始めた場合に、自営業の活動期間について受給期間に算入しない措置なども盛り込まれています。(令和4年7月1日施行)

 

 個人的に興味があったのは、職業安定法の改正です。

 最近急速に台頭しているネット求人は、「募集情報提供事業者」と定義されています。ネット求人事業が職業紹介事業に該当する場合には本来許可を得なければなりませんが、職業紹介事業との区分があいまいなところがあります。

 厚生労働省では「民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準」を公表しており、この基準に沿って職業紹介事業に該当するか否かを判断しています。

 今回の改正では、求人メディアの新たな形体サービスの登場を受けて募集情報提供事業者の定義を拡大し、事業者への届出・報告制度を導入しています。また指針に違反する募集情報提供事業者に対して行政指導を行使できる内容も追加されました。(令和4年10月1日施行)

 

 コロナ禍において求人のスタイルも大きく変わり、採用過程におけるトラブルや内定取り消しに関するご相談も以前より多くなった気もしています。

 保険料率の改正とあわせて最新の情報を確認されるとよいでしょう。

 

 改正の内容と上記の区分基準は、こちらからご参照できます。

  • 雇用保険法等の一部を改正する法律(雇用・労働関係)

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659_00013.html

 ※サイトの表記は、現時点で改正”案”となっています。

 

  • 民間企業が行うインターネットによる求人情報・求職者情報提供と職業紹介との区分に関する基準

​ https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/seido/anteikyoku/minkan/